コラム

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2022.08.23

フィナステリド

2015年4月、AGA治療薬・薄毛治療薬であるプロペシアジェネリック「フィナステリド」が発売されました。フィナステリドの効果、副作用、初期脱毛、飲み方、服用方法、通販(通信販売)・個人輸入代行、PSA値、女性とフィナステリド等についてお話いたします。

  • 商品名 フィナステリド錠0.2㎎「ファイザー」、フィナステリド錠1㎎「ファイザー」
    5α-還元酵素Ⅱ型阻害薬、男性脱毛症薬
    製造販売元 ファイザー株式会社
    提携 マイラン製薬株式会社
    製造承認日 2015年2月
    販売開始日 2015年4月

プロペシア(フィナステリド)の発売

1997年FDAよりAGA(男性型脱毛症)の治療薬としてプロペシアが認可され、日本では2005年10月に米メルク社の日本法人であるMSD社(旧万有製薬)から発売されています。日本以外の多くの国ではプロスカー、プロペシアとして発売されています。

フィナステリドとは

プロペシアの有効成分が「フィナステリド」です。日本では0.2mg錠と1mg錠が治療に使用されています。アメリカテキサス州からメキシコに自生するノコギリヤシという植物の薬効成分からできた薬剤です。米メルク社が開発した抗アンドロゲン薬の1つで5α-還元酵素阻害薬という分類の薬剤です。元々5α-還元酵素阻害薬は前立腺の薬として研究が進んでいた薬剤です。男性ホルモンのテストステロンをDHT(ジヒドロテストステロン)へ変換する酵素であるⅡ型5α-還元酵素を阻害することで作用します。前立腺肥大に対してプロスカー錠5mgとして使用されています。プロスカーの1mg量での研究によって、男性型の脱毛症において毛髪の成長が見られることが明らかにされました。

フィナステリド(プロペシアジェネリック)の発売

2015年MSD社の日本でのプロペシアの特許権がきれたため、ファイザー株式会社が2015年4月よりプロペシアジェネリックをマイラン株式会社と共同で販売する予定です。「プロペシアジェネリック」は製造販売元がファイザー株式会社、提携でマイラン製薬株式会社、製剤名は『フィナステリド錠0.2㎎「ファイザー」』、『フィナステリド錠1㎎「ファイザー」』となります。PTPシートのものが28錠と140錠、バラが90錠の製剤になっております。

ファイザー社より少し遅れた2015年6~7月ごろに数社がプロペシアジェネリックを発売する予定でいるようですが、2015年5月現在まだ正式な発表はありません。プロペシアと同じ成分のフィナステリド製剤で、適応、効果・効能、注意事項、副作用すべて同じです。日本皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドライン(2010 年版)では推奨度Aランクの薬剤でAGA・薄毛治療の標準的な薬剤です。

フィナステリドの効果は日本皮膚科学会推奨度Aランク

プロペシアと同じ成分のフィナステリド製剤は適応、効果・効能、注意事項、副作用すべて同じです。適応は20歳以上の男性で男性における男性型脱毛症(AGA)の進行遅延です。脱毛抑制効果が強く日本皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドライン(2010 年版)では推奨度Aランクの薬剤でAGA・薄毛治療の標準的な薬剤です。

フィナステリドの飲み方・服用方法

1日1回服用してください。食事の影響は受けません。3 ヵ月の連日投与により効果が発現する場合もありますが、効果が確認できるまで通常6 ヵ月の連日投与が必要です。

また効果を持続させるためには継続的に服用することが重要です。なお、増量による効果の増強は、確認されていません。本剤を6 ヵ月以上投与しても男性型脱毛症の進行遅延がみられない場合には投薬を中止します。また、6 ヵ月以上投与する場合であっても定期的に効果を確認し、継続投与の必要性について検討します。

AGA治療薬・薄毛・育毛治療薬は継続治療が重要です。継続治療を心掛けてください。

フィナステリド服用の注意点

  1. フィナステリドの服用の注意点はプロペシアと同一です。
  2. フィナステリドは「男性における男性型脱毛症(AGA・エージーエー)の進行遅延」のみ適応があります。円形脱毛症や抗癌剤などによる脱毛症に対する適応はありません。
  3. 国内において20歳未満を対象とした試験を実施していないため20歳未満での安全性及び有効性は確立されておらず20歳未満に対してフィナステリドは処方されません・
  4. 女性に対する適応はありませんので女性に対してフィナステリドの処方はできません。
  5. 妊婦、妊娠している可能性がある女性および授乳中の女性はフィナステリドを服用しないでください。(妊娠中の女性がフィナステリドを服用すると男性胎児の生殖器官の正常発育に影響をおよぼす恐れがあります。
  6. フィナステリドを分割・粉砕しないようにしてください。胎児の生殖器官の正常発育の影響を及ぼす恐れがあるため閉経前女性は「フィナステリド」の有効成分であるフィナステリドに触れてはいけません。フィナステリドはコーティングされていますので錠剤をそのまま女性が触れても経皮吸収されませんが、分割・粉砕すると閉経前女性がフィナステリドと接触する可能性が出てきますので分割・粉砕しないでください。
  7. 前立腺のマーカーであるPSAの数値を変化させます。検査の時に健康診断医やかかりつけ医にフィナステリドを服用していることを必ずお知らせください。
  8. 3 ヵ月の連日投与により効果が発現する場合もありますが、効果が確認できるまで通常6 ヵ月の連日投与が必要です。また、効果を持続させるためには継続的に服用すること。なお、増量による効果の増強は、確認されていません。
  9. フィナステリドを服用中の方は献血ができません。献血をする場合はフィナステリドの服用を中止し、1か月以上間隔をあけてください。(日本赤十字社からの注意喚起より)

フィナステリド処方の副作用

48週間の二重盲検比較試験1において、安全性評価対象276例中11例(4.0%)に14件の副作用(臨床検査値異常変動を含む)が認められました。主な症状は性欲減退3例(1.1%)、勃起機能不全2例(0.7%)等でした。性欲減退が1.1%でみられています。これは偽薬(プラセポ)服用群とで有意差は認めませんでしたので副作用によるEDの過剰な心配は不要です。
肝機能障害(頻度不明):肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止するなどの処置が必要になります。自覚症状としては服用開始後激しい倦怠感等が見られます。

その他の副作用
次のような症状又は異常があらわれた場合には、投与を中止するなどの処置が必要な可能性があるのでフィナステリドを処方された医療機関に相談するようにしてください。

種類*頻度 頻度不明(注1) 1~5%未満 1%未満
過敏症 掻痒症、蕁麻疹、発疹、血管浮腫(口唇、舌、咽頭および顔面腫脹を含む)
生殖器 男性不妊症・精液の質の低下(精子濃度減少、無精子症、精子運動性低下、精子形態異常等)注2) リピドー減退注3) 勃起機能不全注3)、射精障害、精液減少
肝臓 AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、γGTP上昇
その他 乳房圧痛、乳房肥大、抑うつ症状、めまい

注1:自発報告あるいは海外にて認められている。

注2:本剤の投与中止後に、精液の質が正常化又は改善されたと報告がある。

注3:市販後において、投与中止後も持続したとの報告がある。

二重盲検法(Double blind test):特に医学の試験・研究で、実施している薬や治療法などの性質を医師(観察者)からも患者(被験者)からも不明にしてしまう方法です。プラセボ効果や観察者バイアスの影響を防ぐ意味があります。この考え方は一般的な科学的方法としても重要であり、人間を対象とする心理学、社会科学や法医学などにも応用されています。

フィナステリドの初期脱毛

フィナステリドやミノキシジルの服用、AGA ドクターズカクテルなどのAGA・薄毛・育毛治療を開始してしばらくすると(治療開始2週間から6週間ごろに多くみられる)、『初期脱毛』と言って普段よりも脱毛症状が進行したような抜け毛がある場合があります。これは、AGAによって発毛のサイクルに異常があった状態が、薬の効果で正常に戻り、そのため一時的に毛の退行期が重なることによるものです。薬の効果が出ている証拠ですのでご安心下さい。また全員に初期脱毛が起きるわけではありません。

フィナステリドと子作り

フィナステリドを用いた生殖発生毒性試験において、妊娠中の女性がフィナステリドに暴露されると生まれてくる男の赤ちゃんの生殖器奇形が生じる可能性があります。

そのためフィナステリド服用中の場合で挙児希望の場合の精液中のフィナステリドによる催奇形性の可能性を検討しないといけません。MSD社のデータでフィナステリドの精液への移行性が検討されています。「アカゲザルの妊娠20 日から100 日までフィナステリド120 ng/kg/day を毎日静脈内投与した場合でも雌雄胎児に異常所見は認められなかった(アカゲザルへの投与量は、フィナステリド1mg が投与された患者の1 回の射精を介して女性が曝露される可能性のあるフィナステリド量の少なくとも750 倍に相当する。つまりフィナステリドは精液中に移行するが、人の精液に含まれている750倍の量のフィナステリドをアカゲザルの血液中に注射したがアカゲザルに奇形を有する児はいなかったということです。このデータからも過剰に心配することはないようです。

子づくり中は休薬期間を設けましょう。どうしても心配な方の場合、フィナステリドは服用中止後1か月で血中から消失しますがMSD社はフィナステリドの影響を完全に排除するために子作りをする3カ月前からフィナステリドを中断することを推奨しています。そうすることでプロペシアの影響が完全になくなります。またミノキシジルに関しては男性が服用するには妊娠・胎児に影響しませんのでご安心ください。女性にはフィナステリドを触れさせないようにしてください。

フィナステリドでPSA値が1/2になります。

前立腺癌診断の際のスクリーニング検査法の1 つとして血清PSA 濃度が測定されていますが、国内で実施した24歳ヵら50歳の男性型脱毛症患者において、血清前立腺抗原(PSA)の濃度が約40%低下し、海外臨床試験において、高年齢層の前立腺肥大患者へのフィナステリド投与により血清PSA濃度が約50%低下しました。1

注意していただきたいのはフィナステリドが前立腺癌の治療に効果があるというわけではありません。健康診断やかかりつけ医にフィナステリドを服用していることを必ず伝えてください。前立腺癌が見落とされる場合がございます。

40歳から60歳の男性型脱毛症を対象とした海外臨床試験で、血清PSA累積曲線は、投与前の曲線と本剤1mgを48周投与した後の血清PSAを2倍にして作成した曲線と類似しており、前立腺肥大症を対象とし、フィナステリド5mgを4年間投与した海外臨床試験においてフィナステリド5㎎の投与を受け試験期間中に前立腺がんと診断された患者の血清PSA累積曲線は、試験期間中に前立腺がんと診断されたプラセボ群の血清PSA累積曲線とほぼ一致しました。したがって血清PSA濃度を2倍することで、PSA検査の前立腺癌検出の特異度を維持しながら感度にも影響をもたらさないことがわかりました。

つまりフィナステリド投与中の男性型脱毛症患者はPSA値が50%低下します。測定したPSA値を2倍すると正しい値になります。

Guess,H.A.,et al.:J. Urol.155(1):3-9,1996

フィナステリドとドーピング

フィナステリドは一時ドーピングで問題になったことがありました。日本のプロ野球でも問題になり、ヤクルト・ソフトバンクに所属していたリック・ガトームソン投手(当時はソフトバンク所属)が2007年にフィナステリド使用によるドーピング検査陽性で20日間の出場停止処分となっています。ガトームソン投手はヤクルト所属時の2006年にノーヒットノーランを達成している投手です。

フィナステリドは、体内で男性ホルモンに影響し筋肉増強剤の使用を隠す効果があるためWADA(世界アンチ・ドーピング機関)等でドーピング剤として認定されていました。しかし検査技術が向上したためフィナステリドを使用しても禁止物質の判別が可能になったため2009年から禁止リストから除外されました。

2年後であればガトームソン投手のドーピングで出場停止になることはありませんでした。またフィナステリド服用を中断したためせっかく生えた髪の毛も抜け落ちたはずです。ガトームソン投手は個人のプライバシーが公になったことや処罰を受けたこと、AGAが進行したこと等いいことがなくこの年はわずか5勝に終わりました。契約がきれた翌年解雇されています。

フィナステリド発売後のプロペシアのシェアはどうなったのか?

プロペシアのジェネリック医薬品、フィナステリド錠0.2㎎「ファイザー」、フィナステリド錠1㎎「ファイザー」が発売されてまだ1か月前後ですがプロペシアのシェアはどうなっているのでしょうか?

昨年バイアグラジェネリックが発売されてもバイアグラジェネリックがシェアをとれなかったことを別のコラムで書きましたがプロペシアではどうだったのでしょうか?

地域 プロペシア フィナステリド「ファイザー」
全国 40% 60%
東京都 28% 72%
埼玉県 45% 55%
神奈川県 47% 53%
千葉県 58% 42%

4月10日までのデータ

上記の表は薬局等に卸す段階のデータですが結果は早くもプロペシアの60%がプロペシアジェネリックのフィナステリドに切り替わっています。

なぜプロペシアはフィナステリドに切り替わり、バイアグラは先発品のファイザーがシェアを維持できたのでしょうか。まだ発売され始めたばかりなのではっきり言えませんがファイザー社のMRと話をしているとバイアグラの場合、「バイアグラの色・形の影響が大きいのではないか」ということでした。「バイアグラは青色でひし形の独特な色・形をしていますのでそのイメージが強くバイアグラジェネリックの普通の丸い剤型だと効かないのではないかと思われる方がおおいようです。」と話していました。完全なイメージですが剤型が特徴的であることでシェアを維持することができる良い結果を生んだようです。

一方MSD社のMRは「だいぶ切り替わってしまったけど、上の方からまだ何も話がないですよ・・。」、「普通のピンクの錠剤でなくて菱形が良かったですかね・・・。」とまだ方針が定まってない様子でした。

プロペシア、フィナステリドは長期間飲み続ける薬剤ですので皆さんコストを考えます。プロペシアがよりシェアをより下げていくのでしょうか。やはり毎月飲み続けるもので同じ成分ならば安いほうがいいとお考えの方が多いです。また有名なファイザー社製という安心感もあると思います。今後他社からプロペシアジェネリック「フィナステリド~」が発売され始めます。そうなった時にMSD社が今後どのような対応をしていくのでしょうか。

フィナステリドは「AGA治療」という呼称が使えません。

プロペシアジェネリックはAGA(エージーエー)という用語を使うことができません。AGAは Androgenetic Alopecia(男性型脱毛症)の略です。すでにAGAは薄毛・抜け毛の意味として一般的に認識されていますが、商標登録されておりMSD社の商標でMSD社以外の製薬会社はAGAを使用することができません。そのため「男性型脱毛治療薬」とプロペシアジェネリックには表記されています。

海外のフィナステリド製剤

海外でも多くのフィナステリド製剤が発売されています。全てではありませんが有名な製剤を一覧にしました。

海外フィナステリド製剤一覧

薬剤名 製薬会社 注意事項
フィンペシア Cipla社
エフペシア Cipla社 販売停止
フィナロ Intas Phamaceuticals Ltd社
フィナバルト East west pharma社

フィンペシアは一時期キノリンイエローという添加物が発がん物質ではないかと疑いをかけられました。(実際には発癌性なし)そのためCipla社は一時期キノリンイエローフリーのエフペシアを製造販売していました。その後フィンペシアをキノリンイエローフリーにして販売し始めたためエフペシアは販売停止されており、現在市場では流通していません。フィンペシア、フィナロ、フィナバルトともにフィナステリド1㎎の製剤です。本物であればプロペシアと同等の効果が得られます。

フィナステリド(プロペシアジェネリック)の個人輸入・通販について

フィナステリドなどのAGA治療薬を受け取るには医師の処方箋で薬局から受け取るか院内処方で薬を受け取るかどちらかとなります。国内ではAGA治療薬の通販は禁止されており国内のクリニック・病院が診察なしに郵送することも違法です。

海外製AGA薬の個人輸入・通販に関しては認められております。但し、錠数の制限や本数の制限などがあること、流通の際に偽造品が混入してくることが問題となります。インターネットでの個人輸入の際にはかなりの偽造品が混入するといわれています。きちんとした流通で海外薬剤を購入すればいいのですが個人ではきちんとした流通路をもつ輸入代行業者の選別は難しいのが実情です。非常に精巧にできているので見た目での判別は非常に難しいうえに内服・外用することで深刻な健康被害を引き起こすことがあるため危険です。

特にプロペシアに関しては厚生労働省から「安易な個人輸入は行わず、必ず医療機関を受診し医師の処方により正しく服用してください。」と注意喚起が出ている薬剤です。(プロペシア、プロスカー、フィンカーなどのフィナステリド製剤で)

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