心疾患をお持ちの方からED治療薬の服用の可否についての質問を多く頂きます。今回はED治療薬と心臓病について、および注意が必要な心臓病治療薬についてお話したいと思います。
ED治療薬の服用は基本的に可能です。
心臓病で治療を受けているがED治療薬を服用できるか?といった質問を多く受けます。疾病の種類や服用内容にもよりますが主治医から運動制限を受けていなければ基本的には可能です。
運動負荷の程度について
運動の負荷の程度は運動強度によって表わされます。運動強度とは運動中に体にかかる負担度を表しており、METs(metabolic equivalent)という単位が用いられています。1METsは安静時における単位時間あたりの酸素摂取量/体重1kgを表しています。
簡単に言うと安静にしている状態を1METsとして運動をしたときにどれくらいの酸素量を必要とするかで負荷の程度を評価するというものです。3METsが普通の速度のウォーキング、4METsが早歩きや自転車、5METsが軽いエアロビクス、6METsがジョギングの強度です。
性行為はオルガズム前が2~3METs、オルガズム後が3~4METsと言われています。
性行為中の心血管反応については様々な研究が以前から行われており、AHA(米国心臓協会)の心血管疾患と性行為に関する発表によると胸痛発作や心筋梗塞を起こしたとしても治療後に医師の診察によるチェックを受け、3~5METsに耐えることができれば性生活を安全に再開できるとされています。以前はバイアグラと突然死の関係について誤った情報が流れていたため未だに誤解されている方も多いですが、現在ではED治療薬を服用することで心筋梗塞や狭心症などの心臓発作を起こすといったことはなくあくまで性行為自体の負担が強すぎるためと考えられています。
バイアグラ、レビトラ、シアリスともに心臓への負担は基本的にありません。心臓病をお持ちの方は服薬内容や運動制限の有無を医師に確認して下さい。
ED治療薬の併用禁忌薬
次に注意が必要な心臓病治療薬についてお話します。
狭心症、心筋梗塞の既往があるがED治療薬は服用できるか?といった質問も多く頂きます。
上記の通り運動制限を受けておらず病状が落ち着いている方であれば服用自体は相談の上可能です。ただしニトログリセリン系薬剤、硝酸剤の服用をされている方はED治療薬を服用することで血管拡張効果が増強され、過度の血圧低下を引き起こし命に関わることもありますので禁忌となっており服用できません。ED治療薬のもっとも怖い飲み合わせがニトログリセリン、硝酸剤との併用です。
不整脈も狭心症、心筋梗塞と同じく病状が落ち着いていて運動制限がなければED治療薬は原則服用可能ですが一部の抗不整脈は併用禁忌となっており注意が必要です。抗不整脈薬は1a、1b、1c、2、3、4と6群に分類されておりED治療薬は3群に入るアミオダロン、アンカロンが禁忌となります。レビトラは3群に加えて1aに入るシベノール、アミサリン、リスモダンなども禁忌となりますので抗不整脈薬を服用中の方は必ず服用薬の内容を医師に確認して下さい。