「ザガーロ」は2015年9月にイギリスのグラクソ・スミスクライン社が厚生省から製造販売承認を取得し、翌年6月に販売が開始されたデュタステリドを有効成分とする経口のAGA治療薬です。カプセル状の剤形で0.1mgと0.5mgの二種類の規格があります。国内ではAGA治療薬「プロペシア」に次いで2番目に発売されました。ザガーロはAGAの原因となる男性ホルモン（ジヒドロテストステロン）の生成を阻害し、発毛を促進させる効果があります。今回はAGA治療薬ザガーロの効果や作用機序、副作用等についてお話を進めていきたいと思います。
AGAとは
AGAとは遺伝や男性ホルモンの影響などにより成人男性に現れる脱毛症のことです。Androgenetic Alopeciaの英語訳で、日本語では「男性型脱毛症」を意味します。AGAの原因は遺伝や男性ホルモンの影響によるものが多くを占めます。AGAになると髪の毛の生え際や頭頂部の毛が薄くなっていきます。生え際から薄くなっていく場合、頭頂部から薄くなっていく場合、両方から同時に薄毛が進行するパターンもあります。AGAは専門的な治療を必要とするもので、生活習慣や食生活の見直しだけで改善するものではありません。日常生活において薄毛や抜け毛の自覚症状があれば専門の病院やクリニックを受診しましょう。AGAは治療可能ですが、より効果的な発毛効果を期待するのであれば、早期の受診と適切な治療薬の継続的な服用が重要となります。
冒頭でも述べましたがAGA治療は一度薬を服用して完治するような簡単なものではありません。長期に渡るAGA治療と真剣に向き合う為にはただ漫然と通院・服薬するのではなく、髪の毛がどのような仕組みで生えるのか、服用するAGA治療薬にどのような作用、効果があるのか知っておいた方がAGA治療のモチベーション維持、向上につながります。
発毛の周期（ヘアサイクル）について
髪の毛が生えてから抜け落ちるまでの一定の周期をヘアサイクルと呼びます。ヘアサイクルには成長期、退行期、休止期があり、3つのサイクルで循環しています。成長期は2年~6年かけて髪の毛が新しく作られる時期です。毛細血管から髪の毛の成長に必要な栄養が取り入れられ、毛母細胞が分裂を繰り返し、髪の毛が成長します。14日間ほどの退行期にはいると毛母細胞の活動が弱まり、分裂が行われにくくなります。その結果髪が伸びにくくなります。3か月前後の休止期を迎えると、細胞分裂が行われなくなり、髪の毛の成長が止まります。休止期が終われば次の成長期へと移行し、新しいヘアサイクルがはじまります。
ザガーロ服用における注意点
ザガーロは1日1カプセルを服用し、服用間隔は24時間空けてください。また、20歳未満の方に対しての安全性は確立されていない為、未成年への処方はできません。ザガーロは男性ホルモンの働きに関与する育毛剤です。女性の薄毛の場合は女性ホルモンによるものが多いので服用しても効果は期待できません。また、デュタステリドは経皮吸収される薬剤です。幼児、妊婦、授乳婦が摂取しないよう十分ご注意ください。ザガーロの剤形はカプセル状となっております。カプセルを開けてしまうと成分が飛散し、女性の皮膚を通し吸収されてしまいます。妊娠中の女性の場合胎児がデュタステリドの成分を体内に取り込んでしまう恐れがあります。ザガーロを服用する際はカプセルを空けずそのまま服用するようにしてください。
ザガーロの効果・作用機序
ザガーロはフィナステリドを有効成分とする「プロペシア」と同様、AGAの原因となるジヒドロテストステロンの生成に必要な5αリダクターゼを阻害する作用があります。この作用によりジヒドロテストステロンの生成を抑制し、AGAを改善する働きがあります。なおプロペシアと比較した場合、プロペシアが5αリダクターゼのⅡ型しか抑制できないのに対し、ザガーロは5αリダクターゼのⅠ型、Ⅱ型両方の働きを抑えることができます。その為、発毛効果に関してはプロペシアの1.6~1.8倍の効果があると言われています。
ザガーロの副作用
ザガーロは勃起機能障害や射精障害、性欲減退など男性機能に関わる副作用が発現することがあります。またザガーロの男性ホルモンを抑制する効果により女性ホルモンが優位になり、乳房種大が起きることがあります。ジヒドロテストステロンの生成を阻害する作用により、気力の低下や鬱状態なども副作用として挙げられます。
偽造品・粗悪品にご注意ください
ザガーロに限った話ではありませんが、個人輸入代行業者などを通じてインターネットなどでAGA治療薬などを購入するのは大変危険です。ネット上で出回っている薬剤の半数以上は偽造品と言われています。また個人で購入すると誤った方法で服用してしまったり、併用してはいけない薬と一緒に服薬してしまう恐れがあります。AGA治療薬の処方を希望される場合は個人の判断で購入せず、必ず専門の病院やクリニックを受診しましょう。
